黄金の方程式

醸造の過程では、多くの場面で「何かを得るには何かを失う」というトレードオフを直面します。例えば、フレーバーを濃厚にするために多くのホップを追加して、同時に渋味や苦味を引き出してしまうこともその一つです。ドライホッピングはまだまだ研究・実験の必要な分野で、多くのブルワリーが最適解を追及しています。忽布古丹も「らしさ」を守った上で、今では少し珍しいものではなくなりましたが、ダブルドライホッピングにチャレンジしました。これは足し算のように単純なものではありません。渋味・苦味を出さない「引き算の美学」を守りながら、最大の「Full of Hoppiness」を達成するため、ドライホッピングの温度、抽出方法、量について細心の注意を払いました。将来、育成する可能性もあるアメリカンホップをシングルで使って、その潜在価値を最大限まで引き出すことを目標としました。結果、甘い果実ジューシー感と松脂風のアクセント、最後にクリーンで爽やかな苦味を香り立つビールが出来上がりました。モルト由来のボディと甘みが、ホップの苦味を緩和させ、ホップフレーバーを下支えしています。モルトとホップの織り成す黄金体験をお楽しみください。