人々はこのビールが割りとすっきりでうまいと評価しているということで、南島IPAと比べるとちょっと物足りないかなとも言っています。
このIPAは、パッションフルーツやパイナップルの爽やかな香りと、苦みとトロピカルなフレーバーがバランス良く楽しめるスタイルです。
これまでも取り上げてきたように近年のオーストラリア産やニュージーランド産のホップのパフォーマンスやクオリティーには驚かされるばかりです。今回のIPAに採用した2種類のオーストラリア産ホップは、「Vic Secret (ヴィクシークレット)」と「Galaxy (ギャラクシー)」という品種です。2種とも大変有名なホップですが、前者は、ビクトリア州にちなんで名付けられた品種で、強いパッションフルーツとパイナップルの香りももたらしてくれます。忽布古丹醸造では絶対的な信頼を寄せているホップ品種の1つです。後者のホップは、ビクトリア州とタスマニア州の両方で栽培されている品種でホップオイルの含有量が他の品種に比べて突出しています。レモン、パッションフルーツ、ピーチ、パイナップルなどのトロピカルなフレーバーが特徴です。2つのホップは、近縁種であることから、2種ともに共通するフレーバーをいくつも持っており、特にパイナップル感は色濃く表現されたのではないでしょうか。その他には抹茶のようなクリーンな苦み、パイナップルとマンゴーと、土っぽい味わいの時に表現されるようなアーシーなフレーバーが鮮明に舌の上を走っていきます。同じビクトリア州にルーツを持つ2種のホップを組み合わせて、American IPAとは一味違う味わいを表現しました。やはり、ヴィクシークレットの強いパイナップルの香りと、ギャラクシーのトロピカル感は共通する部分があり、パイナップル感を増強し合う素晴らしい関係性を見つけることができました。同時リリースのニュージーランド産ホップで仕込んだSouth Island IPA (New Zealand Style IPA)と是非飲み比べてみて下さい。