Kyoto Brewing Company (京都醸造)

朧月

ABV
5%

このビールについて

レビュー要約

人々はこのビールはメチャフルーティーなベルジャンウィートで、トロピカルな香りが非常に強く、女性にウケがいいと言っています。飲み進めるにつれてオレンジピールの香りが出てきてよいとも言われており、ポップ感もあり、色も綺麗ということです。

朧月の説明

限定醸造シリーズ第50弾 (バッチ目314):京都醸造ではハウスイースト(採用しているメイン酵母)としてベルジャンエール酵母を使っていますが、かといって伝統的なベルギービールに取り組むことはとても稀なことです。

時折、その国を代表するような伝統的なスタイルのビールに挑むことはありますが、それでもベルジャンイーストの独特な個性とフルーツや柑橘系の香りをもたらす現代的なホップの掛け合わせを意識して取り入れてきました。

今回のビールも伝統的なベルジャンウィットですが、人気のホップ”El Dorado"に大役を与え、印象的な働きをさせているという意味ではそれに当たるでしょう。

ベルギーで昔から愛されるスタイル”ウィット”は通常の大麦に加え、大量の小麦とオーツ麦などを入れて作られます。また、その多くは麦芽に加工されていないものを使う為、出来上がりは淡い色味にソフトな味、そしてしっかりとした濁りが生じます。

今回のビールでは本来のウィットのレシピに忠実にモルトを使い、小麦とオーツに関しては麦芽と麦芽化していないものを半々の割合で使いました。

そしてウィットの特徴の一つにコリアンダーとオレンジピールを使うことがあり、フルーティーかつ爽快な香りをビールに与えます。

ただし、この二つの材料がうまい配分で取り入れられた時は素晴らしいビールになるけども、個性的な二つが主張し合うことで、結果クセを強く残すビールになることもしばしばあります。私たちはこの部分では本来通りのスパイスやフルーツを添加する方法をとらず、代わりに”El Dorado"というホップを使い、同様の香りをビールに与えるようにしました。

仕上がりはソフトですっきり爽快な口当たりで、ベルジャン酵母特有のスパイス感やホップが織りなすトロピカルフルーツのような印象がしっかり残るベルジャンウィットが出来ました。また、苦味を与えるホップを入れないことで、しつこい甘みやエグさもでず、程よい麦の甘みを味わえる仕様です。もし古典を現代風にツイストするとしたらこのようなビールになるのではないでしょうか。

名前の由来: 思いがけず夜空に浮かぶ満月に出くわすと何とも嬉しい気分になるのは自分だけではないはず。またうっすらと雲がかかり、まん丸の輪郭が溶けてしまったような朧月もまたなんとも言えない趣があってよし。

電車の時刻表や定規で引かれた線のようにはっきりとした物事は現代を生きる私たちには必要なことだが、はっきりしない物事もまた、面白さや奥ゆかしさを私たちに喜びを与える。

空に浮かぶ朧月は私たちに問いかける。

”はっきりしすぎてはいないか?”