人々はこのビールについて言うと、テールが屋台で食べている感じで軽く、ドライでbrutな感じで、ジャスミンライスを使ってキレのあるセゾンで、レモングラスや柑橘系のニュアンスが鼻に抜けて美味しいと評価しています。また、暑すぎる日に飲むと乾いた喉に染み渡り美味しいと評判です。
ストリートフード。そのフレーズをおかずにご飯が食べられそうな、そんな魔性を秘めた言葉。小さな丸いすに腰掛け、指差しで料理をオーダー。最初に覚える現地の言葉は“ビールを一つください”でしょ?桶で濯いだだけのコップに、時には氷を浮かべて飲むビールのうまさと言ったら。あちこちから漂ってくる、肉の、脂の、焼けるような香り。人々の生活。熱気。日本からは急速に失われつつある、人が人であることを実感する原風景のようでもあります。そんなシーンをイメージしつつ、パシフィック的感覚でビールにしてみました。「Yam Yum」でも登場した、二宮の徳江さんが育てるレモングラスを、収穫後に乾燥させてもらったものをベースに、ゆずとみかんの皮も加えました。麦芽の一部をジャスミンライスに置き換えることで、独特の軽さやほのかな甘い香りを。ラガーのようなすっきりしたものもいいですが、よりドライで華やかな雰囲気をもつベルギー系の酵母で発酵させてみました。ファームハウスエールとも言えそうですが、これはあくまでストリートビア。一見ちぐはぐにも感じる、雑多な原材料の組み合わせをラフに楽しんでもらいたいのです。屋台で浴びる夜風のような、熱気があるのに清々しい、そんなビールになりました。